予め言っておくと、僕は今まで新海誠さんの映画も小説も見たことがありませんでした。
「秒速5センチメートル」「星を追う子ども」「言の葉の庭」など、作品名だけは知っているものの、実際にストーリーを味わったのは「君の名は。」が初めて。
過去作との比較はできない点、ご了承ください。
君の名は。 感想
始まってすぐ面白い!
瀧が三葉の体に入って困惑する描写。喉の違和感や胸の重さを実感するところで、一気に引き込まれた。男目線で読んでるせいかもしれないが…。
僕の場合、どの小説も40ページくらいから面白くなっていく印象。だが「君の名は。」は14ページ目という早い段階から面白くなってきた。目次や空白ページを除けば、実質7ページ目である。
「これ、絶対面白いやつだ」と確信した。
前半の楽しさ 後半の切なさ
男と女の体が入れ替わる。
本人たちは大変だろうけど、周囲の反応は見ていて楽しい。案外なんとかなっているのは出来過ぎでは? と思ったけどまぁいいか。
入れ替わるといっても週に2,3度のことなので、戻ってきたら今までの日常が待っている。しかし、東京に憧れていた三葉はその生活を満喫。自分のお金ではないから、やりたい放題。三葉に振り回される瀧は見ていて愉快。
ただ、瀧の方も三葉の体で楽しんでいるようなので、文句は言えないと思うけどね!笑
2人はお互いの存在を自覚すると、スマホや日記にメモを残すようになる。そこで行われる会話。・・・なんて微笑ましいんだろう、他人事なので「いいぞ!もっとやれ!」と思いながら和やかに読めた。
でも、ある日を境に入れ替わりは起きなくなる。そこで物語の前半が終了する。
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後半、瀧は入れ替わった時の記憶を手掛かりに三葉を探しに出かけるわけだけど、そこから急展開である。
「えっ! そういうオチ!!」
まさか残酷な事実が待っていたとは…。前半がとても軽いノリで楽しく読めていただけに、後半の展開が凄まじい。さすがに予想できなかった。「君の名は。」はSF小説だったのかと思い知らされた瞬間である。
ここより重要なネタバレ含みます。ご注意ください。
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瀧と三葉の間には、物理的な距離だけではなく時間の距離もあった。その距離なんと3年…。さらに、三葉は彗星災害により亡くなっていたことが発覚。三葉の家族も友達もみんな死んだ…。だから入れ替わりが起きなくなったんですね。
事実を知った瀧の記憶から三葉の存在が消えていく展開は読んでて切なかった。名前を思い出せないって辛い…。
しかし物語はそこで終わりません。
彗星が落ちるという事実を知った瀧と三葉。2人だけしかしらない秘密を抱えた時、どんな行動をとるのか。最後の最後、どんな結末を迎えたか。
個人的には救いのあるエンディングで本当に良かったと思う。具体的なところは実際に小説を読むか、映画で観て体験してほしいと思う。
読み終えてから見るPVも一興
「君の名は。」のPV。
疾走感のあるRADWIMPSの曲にテンション上がり、彗星が綺麗だなーという感想を抱いた。読み終えてから改めて見ると、「綺麗な彗星」と一言で片づけてしまうのは違うかもしれませんね…。
こんなにも綺麗な彗星が……割れて……いずれ落ちる……。そう考えると、何とも言えない気持ちになります。
「君の名は。」の聖地となった場所
三葉が住む田舎町、糸守町(いともりちょう? いともりまち?)。岐阜県の飛騨にあることが分かりました。
僕も三葉と同じ岐阜県の生まれなので、とても親近感がわいた(糸守町に彗星落ちたけど…)。瀧は東京から新幹線で名古屋へ向かい、飛騨を目指したようですが「時間かかって大変だろうなー」と考えてしまった。5時間ぐらいかかったんじゃないかな?
瀧は東京のどこに住んでいたんだろう。
四ツ谷駅から近いようですが、ハッキリとした場所までは分かりませんでした。(見落としているだけかもしれませんが…)
おわりに
新海誠さんによると、小説と映画ではそれぞれメディアの特性を活かした作りとなっており、相互補完的になっているんだとか。
映画ではキャラクターの細かい動きや表情。小説では台詞にならない心情が描かれていたりとか、そういうことでしょうかね。
どちらも単体で楽しめるようですが、気になって仕方がない…! ということで、小説でストーリーを把握した状態で、映画を観てきました!
このあとは関連作品に手を出してみようと思います!
>>三葉や瀧の世界感をより深く!「君の名は。」の関連作品まとめ
小説として単体でも十分に楽しめたのでおすすめの一冊です!