綾崎隼さんの「君と時計と雨の雛 第三幕」を読みました。
講談社タイガから出版されているSF小説、「きみとけ」シリーズの第三幕。続き物なので、途中から読むのはおすすめしません。未読の方は第一幕、第二幕を読むか、以下の考察・感想記事を先にご覧下さい。
なお、ネタバレ満載なのでご注意を。


前作に引き続き、第三幕で起きたことや分かったことをまとめ、考察と感想を書きました。
第三幕の出来事、判明したこと
第三幕で起きたことや判明したこと、千歳の仮説をまとめました。
序盤
芹愛の過去話からスタート。
前作である第2幕の終盤、芹愛はこう言っていました。
初めて出来た親友たちも、親身になって教えてくれた顧問や先輩も、皆、私のせいで消えてしまった。
その詳細が芹愛の視点で語られる。失った8人は親友を3人、陸上部の後輩、顧問、同級生2人、先輩。
また、綜士に対してどう想っているかも判明。姉の杏奈を助けたことや、クラスの中心人物だったことから憧れを抱いていた。
中盤
- タイムリープで精神が過去に戻った時点で、それ以前の記憶は未来から戻ってきた自分の記憶で上書きされる(雛美が4月に綜士と接触したが、9月の綜士の記憶には残っていなかった)
- 鈴鹿緒美曰く、雛美は家族じゃない。血が繋がっていない
- 雛美が鈴鹿家にやってきたのは5年前(時震が起きた日)。緒美のお父さんが連れてきた
- その時の雛美はずぶ濡れで、記憶喪失だった
- 緒美と雛美は瓜二つ。ほくろの位置がほとんど一緒
終盤
- 8年前、佐渡島で起きた時震を機に世界は分岐した
- 5年前の時震で平行世界から一人の少女が飛ばされてきた。その人物こそが緒美=雛美
- タイムリーパーになるのは、5年前の時震の際、白鷹高校にいた人物
- 芹愛は継母の亜樹那と一緒に白鷹高校の屋上で花火を見ていた
- 亜樹那がタイムリーパーにならなかったのは妊娠中だったから。夫の死では絶望せず、希望が勝った
- タイムリープの発生回数には限度がある
- 千歳の計算上、4338日
- すでに15回のタイムリープをしているので、残り264日(8ヶ月と3周間)
- 芹愛のタイムリープは1年(365日)なので、もう発生しない
- 雛美の想い人は綜士
- 綜士と杏奈が生きていれば、もうタイムリープは起こらないという結論に至る
- 杏奈が死ぬであろう時間は場所を変え、全員揃って過ごすことに
- しかし、宿泊するホテルで火災が発生(偶然起きたものではなく、毎周起きていた)
- 16周目で杏奈は死亡。芹愛はタイムリープをしなかった。
- 杏奈の死は避けられたのではないか。まだ希望はあるのではないか
- 綜士が次にタイムリープをしたら、消えるのはおそらく父親
- ラストチャンスがあるかもしれない。芹愛は同意のもと、病院の屋上から飛び降りた
はじまった17周目の世界。
消えていたのは千歳だった。
感想と考察
芹愛の過去話が辛く切ない。
父も母も病死。憧れていた綜士には嫌われ、クラスでは孤立…。杏奈の死は止められないし、高校でできた親友や陸上部の仲間を次々と失っていく…。全くもって救いのない話だった…。
雛美の正体は、並行世界から飛ばされてきた緒美でした。だた、千歳の仮説なので、本当のことはよく分かりません。綜士と雛美の関係性も気になるところ。今のところ接点はないですが、並行世界では恋人関係だったのかも。そして、なぜ飛ばされてきたのか理由を知りたい。おそらく最終巻で雛美の口から語られるのかな?
千歳が大活躍だった第三幕でしたが、最後は綜士のタイムリープで消えてしまいましたね。なんとなく予想はついていましたが・・・。17週目は頼りにしていた千歳がいないので、綜士には頑張ってもらわないと…! 今回、綜士の出番が少なかったので、最終巻での活躍に期待したい。
おわりに
巻末を見ると、シリーズ完結編である「君と時計と雛の嘘 第四幕」は2016年刊行予定とのこと。年内には読めるっぽいので発売が楽しみです!
それでは、また!