こんにちは、西松(@output_log)です。
キノブックスから出版された、世界中の青空をあつめて を読みました。
2020年のオリンピックが東京に決まらなければ、この物語は生まれなかったであろう作品。
著者は中村航。
中村航といえば「デビクロくんと恋の魔法」「あのとき始まったことのすべて」「僕の好きな人が、よく眠れますように」などの恋愛小説が有名。
「世界中の青空をあつめて」は恋愛に対して、重きを置いていない内容でちょっと意外でした。とはいえ、中村航さんの良さが詰まった小説です。
というわけで、本の紹介をしつつ感想をお届けします。多少のネタバレを含みます。ご注意ください。
内容紹介
東京で消耗した和樹。愛媛の実家へ帰っていた。
祖父から開けてくれと言われ渡された封筒。2020年の東京オリンピック開催決定を機に開封された。実はこの手紙、50年以上も前のもの。
封筒の中にあった1通の手紙と写真。手紙にはこう記されていた。
コーチへ。わたしたちの約束をここに埋めました。
オリンピックの年に、一緒に掘り起こしましょう。
メッセージと一緒に5人の名前も添えられていた。掘り起こすものはタイムカプセル。東京に埋められているとのこと。
祖父が動けない代わりに、和樹は行動を開始する。
感想
おじいちゃん、おばあちゃんとの会話に和む
5人のおじいちゃん、おばあちゃんとのやり取りに、ほっこりした。みんな優しくて個性的でいいキャラしてます。
5人の元中学生が埋めたタイムカプセルの中身は、未来の自分達に宛てたメッセージ。そのメッセージをおじいちゃん、おばあちゃん達のもとへ届けに行きます。
たった3行程のメッセージなんだけど、すごく込み上げてくるものがあった。5人とコーチそれぞれにあるので、6回も楽しむことができた。
麻帆かわいいよ、麻帆!
5人の中の一人である根本美代子の孫である麻帆。
やっぱり中村航の物語に出てくる女性キャラはかわいいなーと、改めて思いました。言動も可愛らしいし、著者による表現が、また良いんですよね!
「いたずらをする二秒前のような表情」にグッときました(笑)
和樹について
仕事で消耗した和樹に自分のことを投影して読む人も多いと思う。
わたしも他人事ではないのではないか、ついつい考えながら読んでいました。だからこそ共感も生まれる。感情移入して読んでたから、自然と応援するような気持ちで読んじゃいました。
おじいちゃん、おばあちゃん、麻帆との出会いを通じて和樹が再生していく姿は、自分のことみたいに嬉しくなります。
おわりに
中村航にしては恋愛要素が少なめ。
幅広い世代で楽しめる本だと思います。
この本を読んで、久しぶりにおばあちゃんに会いたくなったなー。
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