【完結】ビブリア古書堂の事件手帖 7巻の感想

2017年2月25日、メディアワークス文庫から「ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~」が発売されました。

前作の6巻が発売されたのが2014年12月末。約2年ぶりの新刊であり、長編シリーズ完結となる最終巻でもあるんです。本っ当に待ち遠しかった。

僕は1巻の発売日である2011年3月から読んでいたので、完結すると知ったときは感慨深いものがありました。シリーズが終わることへの寂しさ、新刊が読める喜び、過去作との思い出など。頭の中で色々な感情が渦巻いていたんです。

そしてようやく迎えた発売日。楽しみにしていたことは間違いなかったので、早速本屋さんへ!

買って満足するかとも思ったのですが、「やっぱり結末が気になる!」ということで読みました。何度も何度もページを往復しながら最初から最後まで、全てを。

ということで、ビブリア古書堂シリーズの紹介や7巻を読んだ感想について語っていきたいと思います。

※7巻の核心に触れるネタバレはしませんが、感想を語る上で6巻までの内容を取り扱わないわけにはいきません。苦手な方はご注意ください

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ビブリア古書堂の事件手帖について

この本の内容を一言で表すと、鎌倉の古書店を舞台にした本にまつわるミステリー小説です

  • 本が好き
  • 古書店が好き
  • 鎌倉が好き
  • ミステリーが好き
  • 本が好きな女性が好き
  • 黒髪ロング・黒縁メガネ・巨乳女子が好き

上記のいずれかに当てはまっていれば楽しめる内容になっていることでしょう。また、途中から恋愛要素も入ってくるので、そういうのが好きな人にもおすすめしたい作品です。

改めて1巻のあらすじをまとめてみました。

あらすじ

篠川 栞子(しのかわ しおりこ)は、鎌倉の古本屋「ビブリア古書堂」を営んでいる。彼女の本に関する知識は膨大で、ついつい我を忘れてしまうところも。

そこにお客さんとして現れた五浦 大輔(ごうら だいすけ)。彼は長時間活字を読むと気分が悪くなる体質を持っており、本が読めない。しかし本が嫌いというわけではない。

大輔は栞子との出会いをきかっけに、お店でアルバイトをすることになります。

ビブリア古書堂で行う業務は単なる古本本の買取・販売だけではありません。ときには曰くつきの古本が持ち寄られることも。主に、栞子さんが本に隠された秘密を解き明かしていくことになります。

ビブリア古書堂の事件手帖 7巻(最終巻)について

シリーズ恒例の雰囲気をした表紙。相変わらずお美しい姿です。

(読み終えてからもう一度表紙を見ると「これぞ7巻の表紙!」と言わざるを得ません。栞子さんが手にしている本と宙に舞っている本がポイントです)

シェイクスピアの名作が登場!

ビブリアシリーズは作中に数多くの本が登場します。6巻までに取り上げられた本の一部がこちら。

  • 夏目漱石:「それから」
  • 太宰治:「晩年」「走れメロス」
  • 江戸川乱歩:「少年探偵団」
  • 坂口三千代:「クラクラ日記」
  • 手塚治虫:「ブラック・ジャック」
  • 宮沢賢治:「春と修羅」

新刊が発売されるたび、「次はどんな本に関するミステリーなんだろう?」とワクワクしたものです。そこで気になるのが7巻で登場する本について。

ずばり、シェイクスピアの本が登場します!

  • リア王
  • ヴェニスの商人
  • ロミオとジュリエット
  • ハムレット
  • オセロー

上記のものは全て登場しますが、どの本が重要な位置づけになっているかは秘密で(笑) 読んでからのお楽しみにしておいてください!

 

さらには、

「わたしはわたしではない」

「覚悟が全て」

といった名言をセリフとして引用しているところもあるので、シェイクスピア好きは要注目です!

ストーリーについて

7巻をもってメインストーリーが完結するので、今まで明かされなかったことが全て判明します。特に重要なポイントがこちらでしょう。

・篠川智恵子が家を出た理由

7巻では新たに久我山尚大の意志を継ぐ吉原喜市(よしわら きいち)と、智恵子の母親であり栞子の祖母である英子が登場。それぞれの関係や会話から目が離せない内容となっていました。

各キャラクターを結びつける因縁となった本も登場するので、6巻まで読んだ人はその目で続きを読んで欲しい。

感想

前作である6巻を読んだのが約2年前ということもあり、ストーリーや登場人物に関しておぼろげなところがありました。最終巻を読む前に、最初から読み直したほうがいいのではないか、と考えたことも。

しかし時間的な都合もあり断念。最終巻のページをめくり、約2年ぶりにビブリア古書堂の世界に足を踏み入れました。

鎌倉の、ビブリア古書堂の世界へ帰ってきた

意味深なプロローグを読み終えて第一章へ。すると主人公の五浦大輔から目の前にいる女性について語られます。

背中まで伸ばした黒い髪。ノースリーブのブラウスにロングスカート、作業用のエプロンといういつもの地味な姿だ。

この特徴に当てはまるのは一人だけ!(正確にはもう一人いる)

フレームの太い眼鏡の奥で、長い睫毛に彩られた両目が見開かれていた。肌は陶器のように白く、古書だらけの空間にしっとりと馴染む。

そうです。栞子さんです!

2人の会話を聞いて、鎌倉の古書店に帰ってきたんだなーと懐かしい気持ちになりました。

そして立て続けに見覚えのある名前を目にすることに。

  • 妹の文香
  • 論理学入門を売りに来た坂口さん
  • せどり屋の志田さん
  • 高校生の奈緒
  • 栞子の母親である智恵子
  • 久我山の人たち
  • ヒトリ書房の井上さん
  • 滝野ブックスの蓮杖さん
  • 1巻の実行犯である田中敏雄

最終巻だけあって過去作の登場人物が勢ぞろい。僕の記憶もどんどん蘇ってきました。

ブランクはあったけどすんなりと受け入れることができ、すらすらと読み進めることができました。(それでも読み終えるのに4時間かかったんですけどね…)

智恵子と栞子のセリフ

終盤、栞子さんと大輔が協力して智恵子さんと争うことになります。

その決戦前に行われた2人の会話がずるいくらいにグッときた。特に栞子さんのセリフ。

大輔の精神はボロボロだったのですが、あんなこと言われたら地に落ちていた自信もすぐに復活するさ。。2人の恋を応援したい気持ちだったけど、この時ばかりは大輔がとにかく羨ましく「替われ」って思ったよ。笑

一応補足しておくと、グッと来たのは栞子さんの可愛さだけじゃあありません。母親の智恵子さんが言っていた、

「わたしはわたしではない」

という自分を否定しているかのようなセリフ。

栞子さんのセリフはこれと対照的で、自らを肯定しているように感じました。

「○○○○○○○○○○○、○○○○○○○○」

ネタバレになるので伏字にご紹介。259ページの4行目に上記のセリフがあるので、気になった方はお確かめください。

結末に大満足

最後はスカッとした展開!

そこから波のように押し寄せてくる幸福感!

ほかの人の感想は知りませんが、僕個人としては非常に満足度の高い終わり方でした。もちろん1巻から読み続けてきたことによる思い出補正もあるとは思います。

にしても、読み終わってからこんなにも幸せな気持ちに包まれるって、そうそうない体験なんじゃないかな。

気になった方は是非読んでみてください!

著者の三上延さんにはホント感謝の気持ちでいっぱいです。ビブリアシリーズしか読んだことがないから他の本も読んでみよっと。

↓とりあえず表紙が素敵でした

完結したけど番外編も楽しみ!

あとがきでは先日発表された実写映画化とアニメ映画化、番外編やスピンオフについて少しだけ触れています。

なんでも紙数の関係で本編に盛り込めなかった話や、各登場人物の前日談や後日談を考えているとこのこと。栞子さんと大輔の話には一区切りがつきましたが、ビブリア古書堂の世界は終わらずにまだまだ続いていくようです。ファンとしては純粋に嬉しい!

調べてみると、2017年3月10日にさっそくスピンオフとなる作品が発売するようです!

ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌

鎌倉の高校を舞台にした青春小説。高校生たちが本をプレゼンテーションすることで、どちらが面白そうか競うビブリオバトルを繰り広げるようです。

あらすじを読むと、鎌倉ということで栞子さんも登場するとのこと

注目すべきは、”いつの栞子さん”なのか。7巻から時間が経っているのか、それとも遡っているのか。非常に気になるところです。数年後とかだったらどうしよう。。

関連作品

漫画版

コミカライズした漫画版のビブリア古書堂。

小説を読むのは時間がかかるので、漫画でサクッと読みたい人向けです。カドカワコミックとアフタヌーンコミックで書いている人が違うのでお気をつけ下さい。

絵柄も大きく異なるので、表紙を見て好きな方をお選びください。

角川つばさ文庫の小説 第1巻

メディアワークス文庫の1巻と内容は同じ。しかし角川つばさ文庫は全ての漢字にルビがふってあります。

難しい漢字でも読めるので(意味が分かるかは別問題ですが)、小説を読みたい小さなお子さん向けにいかがでしょうか。

ビブリア古書堂セレクトブック

こちらでは、ビブリア古書堂の中で登場した本を読むことができます。1冊1冊買うのは面倒なのでありがたいですね。あと、表紙の栞子さんがかわいい。。

収録されている「晩年」や「クラクラ日記」、「ブラックジャック」を読んで理解を深めてみてはいかがでしょうか。