三秋縋「三日間の幸福」感想:一年につき一万円で、寿命を買い取ってもらった話

こんにちは、ニシマツ(@output_log)です。

メディアワークス文庫から出版された「三日間の幸福

著者は三秋縋(みあきすがる)さん。

「三日間の幸福」は著者がデビュー前に公式サイトで公開していた小説に加筆・修正したものです。

デビュー作である「スターティング・オーヴァー」に引き続き面白く、考えさせられる内容で印象に残った作品。あらすじを交えて感想を書きました。

スポンサーリンク

あらすじ

三秋縋_三日間の幸福_0

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。

未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。

彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。

主人公であるクスノキは、一年につき、一万円で寿命を買ってもらい、残りの3か月の余生を過ごすことになります。

感想

自分にあてはめて考えてみた

僕はこの本を読んで、色々なことを考えさせられました。

余命3か月と知ったら、何をするか?

あと3日で死ぬことが分かっていたら、どんなふうに過ごすか?

考えた結果、答えは出ませんでした。死ぬなんて思ってもいないので、今は余裕がある状態。やっぱり切羽詰まった状況になってみないと、何をしたいのかは分からない。。

ただ思ったことは、悔いのないように生きたいということ。
残り3日の命と分かっても、慌てて何かするようなことはなく、受け入れることができたら、後悔のない人生だったのかなーと思う。
「やっておけばよかった」と思っても、残り3日だと間に合わないかもしれませんからね。

自分の価値を上げる

クスノキの価値は低く、寿命の値段はとにかく安かった。
だけど、ミヤギのためになにかしようと行動することで、価値を上げることに成功します。

そこから僕が学んだこと。
今の価値がどれだけ低くとも、後からいくらでも変えられる。
自分が幸せになることだけが全てじゃない。

誰かの為に何かをすることで、自分の価値を上げることに繋がる。
もちろんフィクションだし、そうそううまくいくとも思えませんが、可能性は十分にあるのかなと思いました。

おわりに

小説だけど、自己啓発本のように考えさせられた一冊。
純粋に物語としても楽しめるので、おすすめです。

それでは、また。

 

同著者のデビュー作、「スターティング・オーヴァー」の感想はこちら。

スターティング・オーヴァー:三秋縋のデビュー作を読んだ感想
メディアワークス文庫から出版された「スターティング・オーヴァー」を読みました。著者は三秋縋。後半まで憂鬱な気分になるお話。だけど救いもあり、切なくもなれる内容。クリスマスが近い冬に読みたい本です。おすすめの小説なので感想とともに紹介します。