2016年11月1日に発売された東野圭吾さんの「恋のゴンドラ」。
東野圭吾さんといえばミステリー小説のイメージが強かったので、このド直球な恋愛小説っぽいタイトルを見たとき驚きました。幅広く書くんだなぁ…と。
そのギャップに興味が湧いて購入。
ゲレンデマジックとか、そういうのかな?と思い読んでみるものの、ちょっと違った。その内容は、帯に書かれていた「この恋の行方は天国か地獄か」というキャッチコピーそのものだった。
恋のゴンドラについて、まずはネタバレなしで紹介します。
あらすじ
主人公である広太(こうた)。
彼には同棲している彼女がいる。プロポーズも済んでおり、結婚式の日時まで決まっている状態。
そんな彼だが、学生時代の友人から合コンの誘いがかかり、気晴らしに参加してみることに。そこで知り合った桃実という女性。
広太と同じくスノーボードを趣味としており、2人は意気投合。何度かデートを重ねることとなる。
だが、広太と桃実のあいだに肉体関係は、まだない。そんな2人がいよいよ泊まりがけのスノボー旅行へ!
同棲相手には泊まりがけの仕事で軽井沢へ行ってくると言った! 道具を家から持ち出すと怪しまれるので、ウェアは新しく買った! アリバイ工作は万全! バレる要素なんてどこにもない!!
……はずだったのだが……ゴンドラの中で同棲相手の姿を確認することとなる。
隣には浮気相手。
さてさて、地獄の時間の始まりである。
感想
ゴンドラの中に同棲相手と浮気相手が居合わせている状況。他人事だから言えるけど、こんなにもユニークな状況ってないよね。。
お互いはこの状況を把握しているのか
緊張感のあるゴンドラ内での会話
広太に迫られる選択
ゴンドラの進むスピードはゆっくりかもしれないけど、ページを捲るスピードは高速だった。広太目線で読んでいたので、ハラハラする気持ちがずっと続いてる。心臓バクバクである…。終わり方も必見です。
35ページで終わるので、気軽に読めるのも嬉しいところ。非常に読みやすかったです。
絡み合う短編
先ほど紹介したあらすじや感想は、恋のゴンドラに収録されている1つの短編について。この単行本は長編小説ではありません。次の7つの短編が収録されています。
- ゴンドラ
- リフト
- プロポーズ大作戦
- ゲレコン
- スキー一家
- プロポーズ大作戦 リベンジ
- ゴンドラ リプレイ
しかし単に短編集ともいえない。その理由は、どの短編も同じ世界で繋がっており、里沢温泉のゲレンデが舞台となっているから。したがって、短編の枠を飛び越えて各キャラクターが登場します。
主役だったキャラクターが別のお話では脇役になっている、ということがよくある。「もしかしてこの人って…?」という疑問が正解していた時などは、なんだか嬉しい気持ちに。常にアンテナを張り巡らせ、ほんの些細な登場の仕方でも関連性がないか探すのが非常に楽しかった。
クライマックスで悲劇再び!
さいごの短編のタイトルは「ゴンドラ リプレイ」
冒頭の3人が、またもやゴンドラ内で居合わせることとなる。
はじまりの事故から月日は流れ、3人の関係性も大きく変わった。はたしてどのような結末が待っているのか。そこにいくまでの過程を含め、ぜひとも本を読んで確かめてみてほしい。
エンタメ感の強い小説だったので、後々映像化されるんじゃないかな。ドラマ化or映画化する未来が見えたような気がします。
次のページでは、読んだ人向けに登場人物についてまとめました。どの短編に誰が登場していたのか、確認用としてお楽しみください。ネタバレといえばネタバレなので、未読の方はお気をつけください。