綾崎隼「風歌封想」感想:見事なトリックの書簡体小説!

こんにちは、ニシマツ(@output_log)です。

2016年7月23日、綾崎隼さんの新刊がメディアワークス文庫から発売されました!

その名も、

風歌封想

綾崎隼_風歌封想_

読み方は、ふうかふうそう
舞原一族が主人公の花鳥風月シリーズ最新作! ワカマツカオリさんデザインの表紙が素敵ですね!

発売日当日本屋へ行き、速攻で読了。手紙のやり取りで話が進むという書簡体小説の構成が見事! おすすめの一冊なので風歌封想について紹介します。

※感想のところでは多少のネタバレあり。

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あらすじ

拝啓、舞原和颯様。
風の便りであなたのことを聞きました。

8年前に別れた恋人に一目会いたい。
夢に破れ、長く陰鬱な後悔の時を経て30歳になった彼女は、節目の年に開催された同窓会に出席する。かつての恋人との再会は叶わなかったものの、友人に促され、彼女は自らの想いを手紙に託すことにするのだが……。

主人公は2人。
藍沢瀬奈(あいざわ せな)と舞原和颯(まいばら かずさ)。

この物語の大半は2人に宛てた手紙のやり取りで話が進みます。

風歌封想の感想

綾崎隼_風歌封想

見事なトリック

読み終えた感想は、

「今回もストーリー構成にやられた!」

結末が近づくにつれ浮かび上がる疑問。読んでてどこか違和感があったんですよね。最後まで違和感の正体に自分で気づくことはできなかったけど…。

第6話の次にある幕間。
ここで全て理解しました。

「あ! そういうことだったのか!」

何気なく読んでいた文章に後からハッとするような感覚。綾崎隼さんの作品ならでは。花鳥風月シリーズの醍醐味なのではないかと思います。

実は登場人物の紹介から始まっていたミスリード。いやー見事なトリックでした。未読の人には、ぜひ読んで体験していただきたい。

書簡体小説っていいですね!

昔の記憶が怪しいけど、書簡体小説を読むのは初めてのことだと思う。小説といえば会話ありきで考えていたので、新鮮な気持ちで読めました。

人から人へ、想いの詰まった文章っていいですね。温かみが増すような気さえします。ただまぁ、手紙を第三者が覗き見してるのかと思うと、ちょっとした罪悪感もあるんですけど…。

あとがきについて

綾崎隼さんの本で忘れてはならないのがあとがき。今回はどんな内容で攻めてくるんだろうと思っていたら・・・

潤っとした。

毎回、どこかおちゃらけた感じや自虐的なエピソードで笑わせにきていたので、今回のあとがきは意表を突かれた。

本編の後に、もう一回感動。

おわりに

過去作品を読んでいる人にとってのファンサービス的なところが盛り込まれているので、ファンは買うべし!

はじめましての人も安心してください。花鳥風月シリーズと言っていますが、単作でも十分に楽しめる内容だと思います。風歌封想から綾崎隼さんの世界に浸かってみてはいかがでしょうか。

書簡体小説に興味がある人にもおすすめ!